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今日は、残業手当の請求についての裁判例を紹介しています(つづき)。
第三 争点に対する判断 一 原告らに適用される就業規則は1か2か。 1 原告鈴木克典の供述によると、同原告は、被告会社では就業規則1に従った規律があった、同原告は、庶務的な仕事を担当していた安久課長が被告会社から退職した際、同課長から、(証拠略)(就業規則1)が被告会社の就業規則であるとして渡され、その内容の説明を受けて、庶務的な仕事の引き継ぎを受けた、以後、同原告は、被告会社従業員から、就業規則の提示を求められた際には、(証拠略)(就業規則1)を提示していた、被告会社では前記のように同就業規則に従った規律があったが、時間外賃金については、別途第三号証の「会社規則」(その形式自体、未記入、未完成の条項が多数あり、また、その附則には、「この会社規則は昭和五九年一二月より実施することを目的として作成されている。この会社規則は、昭和五九年一二月二日現在、未検討事項が有り会社が正式に承認し、制定されたものではない。従って、今後の状況や職場環境の変化に伴い、変更される可能性がある。」との記載があって、この規則が完了したものとして就業規則と一体化していたものとは解し難い。)が用意され、これに従って、時間外賃金を最低の職級の者には一時間当たり三〇〇円、その上の職級の者には順次一時間当たり五〇円ずつ上回る金額で一律に支払うという取扱いがなされていた、同原告は、時間外賃金が少ないことに不満をもったため、被告会社代表者に対してその不服を述べたところ、売り上げが十分上がらないので法律どおりの支払ができないという説明を受けた、(証拠略)(就業規則2) は、本件訴訟になって被告会社から証拠として提出されて初めて見た、というのである。また、(証拠略)、同原告の供述によると、被告は、昭和六三年には、高卒者の求人のために、新宿公共職業安定所に対して、就業規則1の趣旨に副った内容の求人票を提出していたことが認められる。右求人票の記載自分は、もちろん、原告らの労働条件そのものを直接決定するものではないけれども、このような内容の求人票を出していたことは、被告会社で適用されていた就業規則が就業規則1であったことの裏付けとなるものということができ、これらの証拠関係によると、被告会社に勤務していた原告らに適用された就業規則は、就業規則1であったと認めるのが相当であって、この認定に反する証拠はない。 2 被告は、就業規則1はとりあえず就業規則のひな型のようなものを作ってみようということで被告会社からの派遣先の就業規則をそのまま写したものにすぎず、当時これを被告会社の就業規則とする趣旨ではなかったと主張するが、その主張に副う証拠は何もない。 3 もっとも、(証拠略)(就業規則2)には、中野労働基準監督署の昭和六一年三月一八日付けの受付印が押印されており、その付則には、「この規則は昭和六一年三月二六日から実施する。この規則を改廃する場合には、従業員代表者の意見を聞いて行う。」との記載がある。そのことからみると、就業規則2は、就業規則1に代わるものとして後に制定されたものであるとも考えられるが、これによる労働条件は、就業規則1に比べて従業員である原告らにとって明らかに不利益な内容となっている。使用者が、従前から従業員に適用されていた就業規則の内容を従業員に不利益に変更することは原則として許されず、従業員がこれに同意しないことを理由としてその適用を拒むことが許されないのは、当該就業規則条項がその内容及び必要性の両面から考慮して合理的なものである場合に限られるところ、本件においては、右合理性について考慮し得べき何の立証もない。 企業の方で、残業代請求などについてご不明な点があれば、顧問弁護士にご相談ください。顧問弁護士を検討中の企業の方は、弁護士によって顧問弁護士費用やサービス内容が異なりますので、よく比較することをお勧めします。その他にも、個人の方で、交通事故の示談交渉、解雇、刑事事件や借金の返済、敷金返却や原状回復(事務所、オフィス、店舗)、遺言や相続などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。 PR |
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