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今回は、顧問弁護士が業務上関わりうる企業法務系の判例を紹介しています。
1 本件は,遺産分割協議によりその相続分を超える財産を取得した上告人が,同分割協議によりその相続分に満たない財産を取得した共同相続人の滞納に係る国税につき国税徴収法39条に基づく第二次納税義務の納付告知を受けたことから、その取消しを求めている事案である。 2 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。 (1)Aは,昭和62年分以降の所得税,その延滞税等合計11億円余りの国税を滞納していた。 (2)Aの妻であるBは,平成17年5月20日に死亡し,その相続人は,A並びに子である上告人及びCの3名である。 (3)A,上告人及びCは,平成17年6月9日,亡Bの約2億円の遺産について分割の協議(以下「本件遺産分割協議」という。)を成立させ,その結果,Aがその相続分(2分の1)を下回る約2000万円の財産を取得し,上告人がその相続分(4分の1)を上回る約1億2800万円の財産を取得した。 (4)Aは,本件遺産分割協議において,その滞納に係る国税の徴収を免れるとともに,Aの近くに居住してその面倒を見てくれる上告人に多くの財産を取得させることを意図していた。 (5)関東信越国税局長は,Aが上告人及びCとの間でした本件遺産分割協議は国税徴収法39条にいう第三者に利益を与える処分に当たり,上告人はこれにより約6700万円の利益を受けたとして,平成18年6月19日,上告人に対し,Aの滞納に係る国税の第二次納税義務の納付告知をした。 3 遺産分割協議は,相続の開始によって共同相続人の共有となった相続財産について,その全部又は一部を,各相続人の単独所有とし,又は新たな共有関係に移行させることによって,相続財産の帰属を確定させるものであるから,国税の滞納者を含む共同相続人の間で成立した遺産分割協議が,滞納者である相続人にその相続分に満たない財産を取得させ,他の相続人にその相続分を超える財産を取得させるものであるときは,国税徴収法39条にいう第三者に利益を与える処分に当たり得るものと解するのが相当である。なお,所論は,同条所定の第二次納税義務が成立するためには滞納者にいわゆる詐害の意思のあることを要するともいうが,前記事実関係によれば,Aに詐害の意思のあったことは明らかである上,そもそも同条の規定によれば,滞納者に詐害の意思のあることは同条所定の第二次納税義務の成立要件ではないというべきである。そして,前記事実関係の下で,本件遺産分割協議が第三者に利益を与える処分に当たるものとし,上告人について第二次納税義務の成立を認めた原審の判断は,正当として是認することができる。論旨は採用することができない。 また、個人の方で、刑事事件、不当な解雇、保険会社との交通事故の示談交渉、未払いの残業代請求や多重債務(借金)の返済、遺言・相続の問題、オフィスや店舗の敷金返還(原状回復)などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。 PR |
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